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三角比と三角関数、同じようで大きな違いがあるんです

高校数学がどこまで必要かという議論は、ときどき忘れたころに上がってきますね。つい最近でも大阪で元大阪府知事がその議論のなかにいたのを見たような気がしますが。

ところが、おそらくそこで使っている三角関数という言葉は関数ではなく、単なる三角比ではないかと思ったので、この記事を書いてみました。

???となった方はそれでかまいません。おそらく高校を普通に卒業した(実際に高校卒業の必修単位のなかに入っているので、最低限この単元の単位は取って卒業していることになっているはず)方はsinθやcosθという表記で思い出すのではないでしょうか。(サインコサインなんになる♪と歌いだした方に、このコラムを読んでいただいているとすると光栄です)

三角比と三角関数の意味

ひとまずは三角比と三角関数の意味を辞書で調べてみましょう。

まずは「三角比(a trigonometric ratio)」

直角三角形の鋭角に関する辺の比の総称。斜辺に対する対辺、斜辺に対する底辺、底辺に対する対辺、対辺に対する底辺、底辺に対する斜辺、対辺に対する斜辺の六つの比をさす。それぞれサイン(正弦)・コサイン(余弦)・タンジェント(正接)・コタンジェント(余接)・セカント(正割)・コセカント(余割)という。

goo辞書「三角比」

続いて「三角関数(trigonometric functions)」

座標の原点Oを中心とする単位円(半径r=1)と、角θ (シータ) が定める動径との交点をP(x,y)とするとき、角θについて、xとyとで表される関数の総称。サイン(正弦関数)・コサイン(余弦関数)・タンジェント(正接関数)・コタンジェント(余接関数)・セカント(正割関数)・コセカント(余割関数)の六つをさす。直角三角形における三角比を一般角に拡張したもの。円関数。

goo辞書「三角関数」

なんだ、関数という言葉がついただけかと思われたかた、その通りです。実際に出てくる言葉は同じです。

しかし、考えの元にしているのが三角比は直角三角形なのです。もっと言うと、三角形の3つの辺の比について言っているので、三角形の内角として考えられる0°<θ<180°と特別に加えた0°と180°の範囲でのみ考えるのが三角比です。

一方、三角比をもっと拡張して、1周である360°を通りこしてあらゆる角度を考えようとするのが三角関数なんです。1周で360°なので、2周すると720°、逆回りに1周すると-360°と考えています。

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おそらく多くの人が話しているのは「三角比」

冒頭の話に戻りましょう。三角関数を学ぶことに意味があるかどうかという議論をされている方々のほとんどが、高校時代に習ったとおもっているのは、三角形に関する定理がたくさん詰まっている「三角比」だということです。

忘れてしまっている方がほとんどだと思いますが、sinθやcosθを考えるときは必ず三角形を書いていたと思います。考えられる角度は、三角形の内角となりうる角度なので、0°より大きくて180°より小さい範囲となります。

この範囲で考える定理として、正弦定理(sinθに関する定理)と余弦定理(cosθに関する定理)が有名です。どちらも三角形の形状を考えるうえで有用です。

そして、実用的に機械工学や町工場などで使われているのはこの三角比なんです。

三角関数は奥が果てしなく深い

三角関数は、関数というだけあって、ありとあらゆる角度に対して定義されます。えっ、角度って360°以上あるの?と再び突っ込みを受けそうですが、先に触れたように作るんです。数学はこの方が都合がよいからと定義して作り上げたものがたくさんあります。0乗が1なんかもそうですね。拡張することで奥が深くなるとともに、考える世界が広がって、研究対象ができあがるという研究者の勝手をも思えなくもないですが、それがのちの科学の発展に大きく寄与するから、たかが理論(理屈)とあなどれないのかもしれません。

三角関数の中で少しは記憶に残っているのではと思うことに「咲いたコスモス、コスモス咲いた」というのがあります(地方によっていろいろな覚え方があるようですが)。

これは「加法定理」と呼ばれるものの覚え方です。角度を単純に足しても値が求まらないので、求めやすい式を作り出したのがこの「加法定理」です。この使い方については、ここでは言及を避けますが、三角比と三角関数には明確な違いがある!という事実を知っておいてもらえると、巷の議論が面白く聞けるかもしれません。

終わりに

今年(2019年)の1月で30回目のセンター試験が行われました。そして2020年1月のセンター試験でその歴史を閉じて大学入学共通テストが始まります。

そのなかの目玉が、思考力を問う問題ということで、記述式が導入されると話題になっています。その題材として三角比が例に挙げられていいました。より実用的に使われるのが三角比、理論的に使うのが三角関数という見方もできます。

せっかくの機会なので、三角比を実用的に活用している現場を見ながら、問題作成をしてもらえると、話題になっていいかと思います。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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